DIY

ビンテージの本紫檀の食器棚

アムステルダム在住の籐花院あまねです。滅茶苦茶長いです。前半は搬入まで、後半は棚づくりのハンドメイド編です。

 

10月頃に突然パリサンダー(本紫檀)とマホガニー(ホンジュラス・マホガニー)の食器棚が、意味不明のたったの50ユーロで出品されました。広告の内容は木材の種類だけでサイズも何もありません。1ユーロ100円とするとたったの5000円です。本紫檀の家具でこんな値段はあり得ません。興味はありますが、値段が値段ですし、場所が遠方であったこととTV台で出品されたため(ボトムにテレビを置いていたらしい)、気になるのですが連絡はしないことにしました。直ぐに他の方の手に渡るだろうと、欲しいものリストに登録したままスルーすることにしました。しかし1週間たっても2週間たっても11月に入っても11月半ばを過ぎても、完売になりませんでした。気になって仕方がありません。実物は酷いものなのか?それとも偽物?ミニチュア家具???

 

12月になりテレビの配線(テレビの線は寝室、テレビは居間のため延長ケーブルで配線する必要がある)を頑張っていたのですが、長さが足りなかったりプラグが合わなかったりと初歩的なミスが重なり、いったん時間を置くことにして買った商品を全部返品しました。返金分で思い切ってこの出品者に連絡を取ってみることにしました。とにかくサイズがわからないと部屋に設置できるかどうかはわかりません。設置したい場所(現在置いている場所とは違う場所)は幅がドアまで116cm強ですが、電器のスイッチがあるので少し前方になり、ドアがギリギリ閉まる119㎝です。

 

返事がきました。幅119㎝。えっ?嘘?この家具についての質問の回答は、

現在80歳、人生最後の家具の総入れ替えで、この家具は不要になった。40年前に道楽でオーダーメイドで作った。自己満足の領域だし、別にお金いらないからこの値段にした。

 

はっきり言って何言ってるのかさっぱり理解できません。ただ譲渡する相手は見ますが、他にも欲しい要る人がいるから早く見に来てくださいとのこと(後日嘘だと分かった)。

 

おでこ事故の翌日、痛みをこらえて、片道2時間、乗り換え乗り換えしながらたどり着いた場所は・・・豪邸。温和な紳士と上品な奥様がお出迎え。1月からこの部屋から順番に家具の総入れ替え。何故かこの家具だけがぽつんとたたずんでいましたが、目の錯覚で広すぎる部屋のせいで物凄く小さく見えました。

 

目を奪われたのは私はボトムのドアの木目と杢目(左右で上下逆、つまりバラバラの木材ではなく、丸太1本から取り出している無垢材)。写真は照明の関係で明るく見えますが、もっと深い色です。その上の引き出し部分のマホガニーのリボン杢も素晴らしい。しかし50ユーロがやはり信じられません。悪い人ではなさそうだし、気に入ったから別に紫檀でなくてもマホガニーは間違いないのでいいやとなり、その場で支払いました。

 

 

帰宅後置き場所を現在の場所に変更し、1週間後に取りに行きました。しかし、出だしから大問題。そうです、重すぎて運べないのです。ウォールナットのテーブルもチークのTV台も相当に重かったですが、4人(私と出品者の奥さん含めて)がかりでも地面はやむを得ずシートの上から引きずらないと動かせません。これでもトップとボトムに分けてるんです。車を入り口ぎりぎりに着け、70代(運んでくれる人)と80代(出品者)の男性が、一回で入れないと無理と言いながら、必死で後部座席に(トップとボトムで2回)。

出品者は顔を真っ赤にして、これでわかっただろ?本物の紫檀だって!誰も信じてくれないんだから!フェイクではなく、40年前にカスタムメイドで作った無垢なんですよ!作った当初も難儀したんです!大工さんが重いから設置しやすいように、トップとボトムははめ込み式にしてくれた。それが救いになっているので、載せられれば勝手にはまります!

・・・そうか載せる作業...。

大体本物の紫檀の家具に50ユーロしか値を付けないから誰も信じないわけですよ!私だって実際に見て紫檀と判断して落札したけど、落札したものの、私に見る目がなければ、紫檀だと言い聞かせようと言う程度の金額よねって話なんですよ。ここでコンタクトを取ったのはどうも私一人らしいことがわかりました。

帰宅後は若い男性(ソーシャルワーカーです。重すぎるので急遽もう一人連れてきてとお願いしたが皆忙しくて駄目だった)と70代の男性とで私が持っていた台車に載せて、私と若い男性とで台車から落ちないように移動して設置。まさかこの台車が役に立つなんて。トップとボトムに分かれていてとにかくボトムが半端なく重い。そしてやっとの思いで設置場所に置いたら、またトップを荷台から降ろして台車で持ち込む作業が続きます。台車と言っても小さいので、うまく載せないと大変なことになってしまいます。ようやく全てのパーツを部屋にいれました。ここで運んでくれた人は次の仕事があるのでさようならです。

次は若い男性と私でトップをボトムの上に載せる作業です。これも1回でやらないと私の体力がありません。何度もシミュレーションを繰り返し、気合を入れて持ち上げます。あまね、もっと持ち上げないと!力の限り持ち上げました。

載せられればすっとはまりました。そして屋根を若い男性が必死で載せてくれました。真ん中の引き出し部分はマホガニーなので軽い。軽いと言っても無垢ですから重いんですよ。重いのですが、あまりにも本体が重すぎて軽く感じたのです。

そんなわけで死ぬ思いの1日を過ごしました。とにかく無事で怪我がなくて良かったです。この家具がおでこに直撃してたら・・・まだマホガニーだから良かったような気がしてきました。

電気の配線がパーツが合わず、クールダウンで全てを返品してお金ができた→50ユーロと言う安さのせいで誰もコンタクトをしなかった→この経緯を考えるとこの家具とは運命の出会いだったのではと大げさに思っています。良いクリスマスプレゼントになりました。もう鑑定はしないことにしました。出品者を信じることに(信じる者は救われる)。

トップに初期やらコレクションの猫の置き物等を置きました。

引き出し部分は何故か大昔に日本から持ってきたヨックモックの空き缶が2か所を除いてフィットしました。

丁度6個持っていたので中身を空けてこちらで使用することに。ここにナイフやフォークなどを置くことに。

引き出しには箸置きを。

天井には神棚を設置しました。棚に入れていた猫型キャンドルを狛犬に見立てて設置です。

天井に雲の字とか写真は見た目が嫌なので付けておりません。神さまはとても古いのでもう御利益はないでしょう。気持ちだけです。

 

そして25日からボトムの棚板作りです。板はマホガニーのワードロープを購入した時、前オーナーは食器棚として使っていたので、棚3枚も一緒にくれたのです。その板の1枚を使いまわすことに。厚さ2cmで大変重い板を幅120㎝から109㎝、奥行き54㎝から40㎝にカットです。

 

普通の電動のこぎりは歯がだめになっていて、ジグソーでカットしましたがガタガタです。

またまた問題です。ボトムには高さがなく、また間口が狭いのです。この棚を入れるのに四苦八苦です。そして、台座が向かって左側はあるのですが、右側にはありません。

ホームセンターに行ってダボを買いましたが、この重い棚板を維持できるのか不安になり、元大工のソーシャルワーカーに28日に連絡をしました。明日見てあげる!と言うことで作業は一時中断です。

 

一晩考えて、棚板の中央に余った棚板で支柱を作ることにしました。支柱のカットは昨日にもましてガタガタになりました。やすりでできるだけまっすぐにしましたが、限度がありました。とりあえず、耐重量5kgの両面テープで引っ付けて、ひっくり返してねじ止めするアイデアです。一人でねじ止めするにはどうしたら良いかと言う苦肉の策です。

 

ここで元大工が来ました。開口一番、切り口ガタガタ・・・。もう初心者でこんな分厚くて固くて重いのを切っただけでも凄いと思いますと主張。笑いながらこれがハンドメイドの良さですと。

 

ここから彼が全部やってくれました。さすが元大工、手際よく棚と手中をねじ止めしました。

 

台座は折角の家具にダボは・・・と言うことで彼の案で1つある台座を2つに切り分けてねじ止めすることに。さすがカットも上手です。そして出来上がったのがこちらです。

なんか支柱と棚板が平らになってないですね。でも大丈夫。

 

ほら見えない(笑)

この元大工は元家具職人でした。そしてこの食器棚の鑑定を勝手にし始めました。

 

4かなぁ。

4とは?

値段。

400ユーロ(で買ったと思った)?

馬鹿者!4000ユーロです。この家具は機械が一つも入っていないです。トップの装飾は手彫りです。ここだけで(彼が指さした部分の写真↓)50ユーロ以上します。

 

使われている金具も1つ30ユーロ以上はしてるでしょう。マホガニーもホンジュラスの本物で一番良い部分を使っています。ボトムのドアの木目と杢目、パリスサンダー(本紫檀)の良い部分を大胆に使っています。見えない部分に使っている木材も凄い。さっき切った台座も含めて全部ダオ(と言っていた気がする、忘れた)です。少なく見積もっても3000ユーロ以上は絶対です。

 

 

いくらで購入したのですか?
・・・50ユーロ
今何と言いました????
50ユーロ!

元家具職人は言葉を失くしてしまいました。

 

これは私の想像ですが、もとオーナーさんは、他の家具は取引のある家具屋さんで購入。今回は古いものを買い取ってもらい新しいのを購入したと思うのです。その際に、この道楽で作った家具は家具屋さんで販売したものではないため、引き取って貰えなかったのだと思います。だからあの広い部屋にこれだけ残っていたのでしょう。また、この家具を作るのにいくらつぎ込んだのか本人は覚えていないではないかと。結果として木材の価値や家具の価値より、家具屋が引き取ってくれなかったから価値はないと判断してこの値段を付けたのではと思いました。もし買わなかったらどうしたのか聞いたら廃棄処分って普通に言ってました。金持ちの考え方とお金の価値観は庶民の私にはさっぱり理解できません。

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1 件の返信 (新着順)
あにー
2022/12/30 08:11

あまねさま💕おはようございます😊

またまた引き込まれて読んでしまいましたょ💓

よく似た話がウチにも…
屋久杉の重い座卓、
机道楽の主人が何処からか買い求め、座敷に置いていますが、男4人でも持ち上げられません。(掃除する私にはめちゃくちゃ邪魔!)
安普請なわが家には重量オーバーです。
主人亡き後(勝手な想像で…全く元気そのもの)処分できないだろうな、移動させるのにお金が掛かる、ただでも良いから持っていって欲しい、という気持ちなんですね、

それにしても、藤色の壁に吸い付くようなカラーで、堂々とした食器棚、お値打ちにゲットできて、修繕もプロの手を借りられ、また新しい家具人生を送ることが出来て、あまねさまに出会えて食器棚さん幸せですね😊

猫さんもステキな居場所与えてもらえて、生き生きしてますね😺😸😻


あにーさん、

机道楽!屋久杉の机!凄い!

この壁の色は濃い紫なんです。もともとは藤色の壁の所に設置する予定でしたが、絶対こっちの方が良いだろうと。寝室も今も四角い部屋ではなく5角形?なんです。何故かこの5辺目にフィットしました。ドアはその内引き戸にする予定なので、ここで良いかと。もともと最新の家具を置くつもりで壁の色を考えたのでどうかなと思いましたが、意外とあいましたね。

あにーさん、どうぞ良いお年をお迎えください。