HOW TO BE DIYers! #2

想像したものを自分の手で作り、
自分の暮らしを豊かにする。

　ツリーハウスやピザ窯、囲炉裏部屋に子犬用の乳母車、そしてチェーンソーを使ったカービングオブジェ。真島さんの自宅を訪ねると、彼の夢と理想がたっぷり詰まった空間に圧倒される。作りたいという純粋な気持ちを形にしたその場所は、まさに彼だけのオリジナル。こんなものがあったらいいな、あったら楽しいな。その気持ちのままにさまざまなものをすべてひとりで作り上げる日々。そこには、毎日の小さなことを繊細に感じ取る彼の少年のような心すら感じることができる。

木を切って、何かの形にする。
その作業に今も純粋に憧れています。

　1949年、東京生まれ。現在70歳を超える真島さんは、東海大学工学部を卒業後に建設会社に入社。26年間、土木技師としてダム建設や道路建設に携わってきた。
「いわゆる現場監督の仕事なのですが、大工さんの仕事を横で見ながら、『いいな、僕もやりたい』とずっと思っていました」

　昔から彫刻が好きだった真島さんが、最初にDIYしたのは自宅の棚作り。その時は工具のこともあまり知らずに、手探りで完成させた。その後はチェーンソーの魅力に惹かれて、近隣の森に転がっている丸太を切って彫刻作品を作ることが趣味に。昔から自身に馴染みのあるマンガのキャラクターを次々と完成させていった。

「自分で想像したものが、現実にモノとしてできあがる。それがとても嬉しかったんです。落書き程度ですが、設計図も自分なりに書いて。これはどうやれば作れるんだろう。そんな想像をしながら、材料を揃えてみる、やってみる。その繰り返しですね。数えきれないほどモノを作ってきました。作るという作業が本当に楽しい」

　庭には自家製のピザ窯と燻製器があり、その横には小さな水車がある。水車の写真を見ながら想像を膨らまし、2週間をかけて完成させたという。

ひとりで好きな時間に没頭する。
それは人生を豊かにしてくれる。

　建設会社を退職後は、カインズホームへ入社。勤務16年目を迎える今、好きなモノに囲まれる空間で仕事中も楽しい時間を過ごしている。

「仕事をしながら、この道具いいな、とか思ったりして。働きながら最新の情報が入ってくるのが嬉しいです。道具のことをお客様に聞かれることも多く、その説明をしている時間も楽しい。僕も最初は手探りで始めました。やってみたい。そんな楽しい気持ちを純粋にサポートしたい。だって、本当に楽しいですから」

　現在は週に４日ほど勤務し、休日は趣味のモノ作りか野球に没頭する毎日。作りたいと思った時に作れる環境を。そう思って自分で作った野外の作業場は、雨も風も凌ぐ立派な仕上がり。大きなモノを入れることがあるかもしれないと勾配を緩くしたところ、水が入って天井が腐りやすくなってしまった。なんでだろう？　そんな失敗を修正し、今は快適な環境になっているそう。

「作業場の前にはツリーハウスがあるんです。以前は地元の小学校校長だった山内さんの私有地に作らせてもらったことがあって。子供達がそこで楽しそうに遊んでいる様子を見ながら、僕も好きなモノ作りに没頭する。その景色がとても好きです」

　最近では鳥の巣箱を作ることに夢中になっている真島さん。たくさんの木々がある自宅の庭には毎年多くの鳥が訪れているそう。　

「都心からほど近い場所ですが、鳥がたくさんいるんです。それを見ている時間が楽しいなと思って。どんな木が好きなんだろうと考えていると、鳥にも少しだけ詳しくなって。3月になると雛を孵すために、鳥は巣を作るんです。そのために今は巣箱を作りたいなと思いました。いろんな形で作ったら楽しいんじゃないかと想像しています」

　今までのDIYで、一番大変だったと話すのはツリーハウス。チェーンソーを使い大きな丸太を切り、それを高い場所までひとりで運ぶ。その途中、木が話しかけている気がして、作業の手を止めて周りを見渡すことが何度かあったそう。　
「何か語りかけているのかなと感じました。樹木には妖精が宿っているのかなって」

　現在自宅の庭にあるツリーハウスの下にはボルダリング用具がある。殺風景だった景色に、楽しいことを加えたらいいなというシンプルな発想で加えてみたそう。そこにはさらに自作の絵を加えて、ますます楽しく。