2024/07/13 21:23
【新・ニラ醤油麹日記(第21話・声の正体)】
「でも生姜って、ほんまは最初の段階で一緒に漬け込まなあかんやんなぁ。今から入れても意味あるんかな?大きい瓶が空いたんやから、やっぱり最初から新しいの作り直した方がよかったんちゃーうん?」
冷静さを取り戻したらんらんに理性が再び問いを投げかける。
「けど、とりあえず宮崎さんと高知さんのブレンドバージョンってこともあるし、3種類のニラ醤油麹ができたってことで、まぁええわ。」
と、理性の問いは一切無視して、らんらんはその匂いを嗅ぎ、瓶の蓋を閉めた。
互いに丸くなった宮崎さんと高知さんの香りは衝突することなく、生姜とともに一つの瓶の中に収まっており、どちらがどうでも、何がどうでも「まぁええわ。」と、ズボラな作り主を容認するかのようだった。
そうか、そうだ…
らんらんはようやく気付いた。
包丁を握りしめたらんらんを衝動的に動かしていた声、あの声の正体は他の何者でもない。
普段はそのなりを潜めているが、
「キッチン」というテリトリーに立つと突如として牙を剥くことがある、
ズボラで適当で強引なもう一人の自分…
あれは自分自身の声だ。
ニラ生姜醤油麹の瓶に映る自分の姿を見つめながら、らんらんはそう思った。
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投稿を表示声の主は、大胆ズボラならんらんさんだったのですね😆
新しいニラ生姜醤油麹🫚
はてさて、どうなるのやら🤭
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投稿を表示《生姜の憂鬱》
"こら難儀なこっちゃで″
生姜は周りに悟られないようため息をついた。
本来ならニラや葱とは、まずまな板の上で顔合わせをし、麹と共に同じ瓶に入れられるはずだ。
個性の強い物ばかりが集められるのだから、最初はなかなか上手くコミニュケーションが取れないこともあるのだが、一緒に過ごすうちにいつの間にか打ち解け、気が付けば最強のチームなっている、というのがいつものパターンだった。
ところがだ。
今回は呼び出されたかと思ったらいきなりみじん切りにされ、なぜか既に出来上がった状態の2種類のニラ醤油麹と一緒に瓶の中に放り込まれた。
言わば自分だけが新参者なのだ。
"もうええ感じになってんのに割り込めてか″
誰にともなく語尾の上がらない問いかけをした後、生姜は両手で自分の頬をパンパンと叩いた。
「まぁ、どうでもぇぇわ、どないなとなるやろ」
そうつぶやくと営業用の笑みを浮かべ、なんとなく胡散臭そうに自分を見ているニラ醤油麹の方へと歩いて行った。
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