【新・ニラ醤油麹日記(第5話・二つの瓶:中編)】 大きな瓶のように、その全てを納めることはできないかもしれない。 いや、たとえその2つの瓶に全てが納まり切らなかったところでどうだというのだ。ニラも、麹も、少しくらい残ったていいじゃないか、他にも使えることがあるんだし。 50円にまで値が下がっているニ
【新・ニラ醤油麹日記(第4話・二つの瓶:前編)】 運命のイタズラ… そんな言葉が本当にあるとしたら、今、まさに自分はそれに呑まれ、翻弄されているのかもしれない、らんらんはそう思った。 このニラは、実家の畑に生えていて「いつでもどうぞ。」というネギとは違うのだ。 今、この手を離したら、次に巡り逢うの
【新・ニラ醤油麹日記(第3話・探し求めた過去の存在)】 「…ニ…、ニラや……。 この細長く一枚一枚のペタンとしたフォルム、これはネギじゃなくて…」 らんらんは指先のパッケージの文字を確認した。 「に」「ら」。 ひらがなで大きな二文字、間違いない。 「なんで?なんで今さら? さっきもう忘れようって決心
【新・ニラ醤油麹日記(第2話・運命の出会いはいつだって突然)】 父の車が目的のスーパーに着いた頃には雨は止み、空には太陽が照り始めていた。 今日はスーパーの特売日。さっきまでの気分とは打って変わって、店頭のカゴを持つと同時にテンションが上がる。予め決めていた買いまわりリストとは別に、らんらんにはスー
【新・ニラ醤油麹日記(第1話 ・ニラにふられて)】 6月半ば、梅雨の午後。朝からぐずついていた天気に晴れ間が。らんらんはその隙を見て買い物に出ることにした。おりしも実家の両親も買い物に行こうとしており、父の車で一緒に乗り合わせて行くことになった。 シルバーマークのついた車を運転する父の隣で、らんらん
【新・ニラ醤油麹日記】 誰もが予測だにしなかった結末を迎えた「ネギ塩麹日記」。あの塩麹のようにしょっぱい涙味の経験を経て、新しい物語が今、始まる…