【新・ニラ醤油麹日記(第12話・いつか来るその日のために)】
3日目、4日目…と沈黙を続ける宮崎さんと高知さんに、らんらんはいささか焦りを覚え始めていた。
いつ完成するとも知れない宮崎さんと高知さんの遅々とした発酵とは裏腹に、これまで毎日のように、食卓を支えて続けてくれたネギ塩麹は着々と消費されていて、もう残り僅かだったからだ。
らんらんの息子もネギ塩麹のことは大好きだった。特にネギ塩麹炒飯はお気に入りで、3回もリピートした。
いつでも手を伸ばせば冷蔵庫にあったネギ塩麹…。そんなネギ塩麹の残量は、今や風前の灯火で、いつまでもその存在に甘えていることはできない。
いつかこんな別れが来ることは最初からわかっていた。そのはずだった。永遠に保存できる食品なんてない。それも痛いほど知っている。
宮崎さんと高知さんが完成へと近づく日々は、同時にネギ塩麹との別れへのカウントダウンの日々だったのだ。
ただ、しかし、らんらんとは違い、息子や家族たちには、そんな自覚も覚悟もない。
だから、その日が来るまでに、せめて間に合ってほしい。
見た目にはわからなくとも絶対に発酵は進んでいる、そう信じたい。
「お願い!宮崎さん!高知さん!」
らんらんは強く願いながら、宮崎さんと高知さんをかき混ぜた。
【新・ニラ醤油麹日記(第12話・いつか来るその日のために)】
3日目、4日目…と沈黙を続ける宮崎さんと高知さんに、らんらんはいささか焦りを覚え始めていた。
いつ完成するとも知れない宮崎さんと高知さんの遅々とした発酵とは裏腹に、これまで毎日のように、食卓を支えて続けてくれたネギ塩麹は着々と消費されていて、もう残り僅かだったからだ。
らんらんの息子もネギ塩麹のことは大好きだった。特にネギ塩麹炒飯はお気に入りで、3回もリピートした。
いつでも手を伸ばせば冷蔵庫にあったネギ塩麹…。そんなネギ塩麹の残量は、今や風前の灯火で、いつまでもその存在に甘えていることはできない。
いつかこんな別れが来ることは最初からわかっていた。そのはずだった。永遠に保存できる食品なんてない。それも痛いほど知っている。
宮崎さんと高知さんが完成へと近づく日々は、同時にネギ塩麹との別れへのカウントダウンの日々だったのだ。
ただ、しかし、らんらんとは違い、息子や家族たちには、そんな自覚も覚悟もない。
だから、その日が来るまでに、せめて間に合ってほしい。
見た目にはわからなくとも絶対に発酵は進んでいる、そう信じたい。
「お願い!宮崎さん!高知さん!」
らんらんは強く願いながら、宮崎さんと高知さんをかき混ぜた。
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らんらん
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2024/07/01
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その他